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VoiceInk レビュー 2026: オープンソースのMac音声入力

Kana チーム
VoiceInkのアプリアイコン。ペン先の形をした軸を持つ青いマイクの下に、VoiceInkのロゴタイプとmacOSとiOSのバッジが暗い背景に並んでいます
画像: VoiceInk (tryvoiceink.com)

Macの音声入力で無料のものを探すと、まず名前が挙がるのがVoiceInkです。GNU General Public License v3で公開されていて、リポジトリのスターはおよそ5,800、Xcodeがあれば自分でビルドして、そのままずっと使えます。

この記事を書いているのは、直接の競合であるKanaを作っているチームです。だからこそ確認できることだけを書きます。以下の内容は、VoiceInkの公式サイト、公開リポジトリ、そして掲載されている画面から取っています。

先に結論です。マイクの音を聞いているソフトのソースを自分で読みたい人、設定を細かく詰めたい人には、VoiceInkが一番の答えになります。WhisperとParakeetを端末内で動かし、Power Modeでアプリごとに設定を切り替えられ、ライセンスは月額ではなく29ドルから69ドルの買い切りです。Kanaはもっと小さく、音声入力自体に一切課金せず、いじれるつまみは少ない作りです。

VoiceInkはどんなアプリか

macOS向けの、押しながら話す方式の音声入力です。全体で使えるショートカットを決めて、押しながら話すと、前面のアプリに文字が入ります。認識は自分のMacの中で走ります。READMEには100%オフラインでの処理と書かれていて、データが端末から出ないこと、端末内モデルで99%の精度が出ることが記載されています。

動作条件はKanaとほぼ同じ形です。Apple Silicon、macOS 14.4以降、メモリは8 GB以上を推奨。2019年のMacBook Proでは、どちらのアプリも助けになりません。

iOSアプリもあり、Macのライセンスとは別に配布されています。Kanaにスマートフォンアプリはなく、作る予定もありません。

無料で使う道と、買う道

競合として書きにくい部分なので、正確に書きます。

ソースはGitHubにGPL v3で公開されていて、BUILDING.mdが付いています。取得してXcodeで開いてビルドすれば、アプリが手に入ります。試用期間もライセンスキーも期限もありません。機能はすべてそのリポジトリの中にあります。

コンパイルしたくない場合は、公式サイトで買い切りのライセンスを売っています。Mac 1台のSoloが29ドル、2台のPersonalが49ドル、3台のExtendedが69ドル。3つとも買い切りで永続利用、14日間の返金保証付きと書かれています。購入前に試せる無料ダウンロードもあります。

これは筋の通った売り方です。払う対象は、署名済みのビルドと開発者の時間であって、払わないと使わせない機能ではありません。

モード、モデル、辞書

VoiceInkは音声入力アプリとしては機能の面積が広く、それがアプリの画面にそのまま出ています。

macOS版VoiceInkのダッシュボード。左側にDashboard、Record Audio、History、AI Models、Power Mode、Permissions、Dictionary、VoiceInk Proなどの項目が並び、右側に発話2時間48分に対して打鍵10時間18分、24736語、平均146.7語毎分、30日間の推移グラフが表示されています

出典: VoiceInk (tryvoiceink.com)

左の一覧のうち、価値の大半は3つに集まっています。

AI Models。 VoiceInkはエンジンが1つに固定されていません。リポジトリにはWhisper系のためのwhisper.cppと、FluidAudioを土台にしたParakeetの実装が入っていて、サイトにはWhisperKitの記載もあります。選ぶのは使う人です。Kanaは言語ごとにモデルを1つだけ載せていて、その選択肢を出していません。長い録音で速さを捨てて精度を取りたいなら、VoiceInkはそのために作られていて、Kanaはそうではありません。

Power Mode。 サイトでは現在Modesと呼ばれています。開いているアプリやURLを見て、設定一式を自動で切り替える仕組みです。書き方だけでなく、設定全体が入れ替わります。Kanaにもアプリごとの振り分けはありますが、切り替わるのは書き換えの指示だけで、Slackとメールで文章の調子は変えられても、その下にある部分は共通のままです。

Dictionary。 モデルが取り違えやすい名前や用語を登録できる点は両方にあります。VoiceInkはそこに定型の置き換え機能も足しています。

READMEには、ChatGPTのような会話ができるアシスタントモードの記載もあります。Kanaに相当する機能はなく、作る予定もありません。

VoiceInkがKanaより優れている点

中身を読めること。 GPL v3、公開リポジトリ、ビルド手順つき。話した内容をすべて聞いているソフトが実際に何をしているかを自分で確かめたいなら、VoiceInkはその問いに答えられて、Kanaは答えられません。Kanaが音声入力で通信しないことはCIで検査していますが、それでも受け取るのはコンパイル済みのバイナリで、信用が前提になります。この一点で決まる人がいて、それは妥当な決め方です。

ずっと無料にできること。 有料版へ誘導するための無料枠ではありません。ビルドする手間を引き受けるなら、全機能が無料です。

エンジンを選べること。 Whisperの各サイズ、Parakeet、WhisperKit。Kanaは言語ごとに1つです。

機能の数が多いこと。 Power Modeはアプリごとに設定一式を差し替え、アシスタントモードは会話でき、置き換え機能は決まった文字列を直し、ダッシュボードは30日ぶんの記録を見せてくれます。Kanaは履歴を一切保存しません。プライバシー側の判断ですが、その代わりに統計の画面は持てません。

Kanaが違うところ

VoiceInkKana
ソースの公開あり、GPL v3なし
音声入力の費用買い切り29ドルから69ドル、自分でビルドなら無料買い切り$9.99、回数制限なし
動作条件Apple Silicon、macOS 14.4以降Apple Silicon専用
iOSアプリありなし
音声エンジンWhisper、Parakeet、WhisperKitParakeet、日本語は別エンジン
アプリごとの切り替え設定一式、Power Mode書き換えの指示のみ
固有名詞の登録ありあり
アシスタントモードありなし
AIによる書き換え任意、自分のAPIキーAPIキー不要、有料プラン

1週間まともに使ったときに残る違いは、次のあたりです。

Kanaは買い切り$9.99で、音声入力もファイルの文字起こしもSRT、VTT、Markdownの書き出しも回数制限なく使えます。サブスクリプションになるのはAIによる書き換えだけで、月$4.90、年$49でMac 3台まで。書き換えはプロキシを経由するので、APIキーを取得したり貼り付けたり入れ替えたりする作業がありません。書き換えが失敗しても、どの経路でも元の文字起こしがそのまま入るので、話した内容は失われません。

日本語は、多言語モデルの一部としてではなく、日本語のための別エンジンで処理しています。毎日日本語で口述するなら、ここが検討する理由になります。

アプリ本体は2.4 MBで、ログイン項目も補助プロセスもなく、Dockにも出ません。音声モデルは約540MBの別ダウンロードなので、インストール全体が2.4 MBになるわけではありません。

VoiceInkとの比較計測はしていないので、この記事に精度のグラフもCPUの数値もありません。どちらもParakeetを動かせます。グラフを出している記事があれば、測り方を確認してください。項目ごとの比較はKanaとVoiceInkの比較ページにあり、VoiceInkが勝っている行もそのまま載せています。

こんな人にはVoiceInk

  • マイクの音を聞いているアプリのソースを読みたい、確かめたい
  • お金を払いたくなくて、Xcodeでのビルドが苦にならない
  • 音声モデルを渡されるのではなく、自分で選びたい
  • アプリごとに設定一式を切り替えたい
  • 同じ開発者のiOSアプリも使いたい
  • 設定項目が多いほうが好きで、実際に使い込む

こんな人にはKana

  • コンパイルなしで、音声入力もファイル文字起こしも買い切りで使いたい
  • 日本語で口述するので、日本語向けのエンジンがいい
  • APIキーを用意せずにAIの書き換えを使いたい
  • 項目が12個並ぶ画面より、そのまま使える初期設定のほうがいい
  • できるだけ小さいものがよく、使っていない間は何も動いていてほしくない

よくある質問

VoiceInkは本当に無料ですか

ビルドするなら無料です。ソースはGPL v3で公開されていてビルド手順も付いており、そのビルドから外されている機能はありません。有料ライセンス(29ドル、49ドル、69ドルの買い切り)で買えるのは、署名済みですぐ動くアプリと、開発者への支援です。

オフラインでも動きますか

端末内のモデルは動きます。READMEには100%オフラインでの処理と書かれていて、同梱のモデルは自分のMacの上で走ります。クラウド側の書き換えについては、サイトで完全に任意と説明されています。

Intel Macでも動きますか

動きません。サイトの記載はApple SiliconとmacOS 14.4以降です。KanaもApple Silicon専用なので、Intel Macを使っているなら、どちらも答えにはなりません。

VoiceInkとKanaの違いは何ですか

VoiceInkはオープンソースで、アプリ全体を買い切りで売っていて、音声モデルを選べて、iOS版があります。Kanaは音声入力とファイルの文字起こしに課金せず、日本語に別のエンジンを使い、APIキーなしのAI書き換えを有料プランに入れています。どちらも料金は1分で確認できる長さです。Kanaの側は料金ページにあります。

どちらにするか迷っている場合は、KanaとVoiceInkの比較ページで項目ごとに並べています。VoiceInkのほうが優れている点も書いています。

最終更新: 2026年8月6日