Willow Voice レビュー 2026: 料金と法人向け
Willow は Mac、Windows、iPhone で動く音声入力アプリです。使っているうちに書き手の文体を学習し、出力をそれに寄せていきます。認識は Willow のクラウドで動き、その基盤を SOC 2 Type II、HIPAA、シングルサインオンとセットで法人に売っています。
私たちは Kana という、認識を Mac の中だけで行う Mac 専用の音声入力アプリを作っています。Willow と Kana は重なる問題を解いていますが、買う人がまったく違います。そこを先に書いておきます。
先に結論です。 複数の OS をまたいで働く人、書き方に合わせて出力が変わってほしい人、情報システム部門の承認が必要な人には Willow が合います。Kana は買い切り $9.99 で、音声入力はネットワーク通信を一切行いません。そのかわり、法人の購買部門に差し出せるものは何ひとつありません。
Willow とは
キーを押しながら話すと、目の前のアプリに結果が入ります。サイトはトリガーをそのまま見せていて、Mac のキーボードの fn キーがそれです。

出典: Willow (willowvoice.com)
単なる音声認識層と違うのは、音声と文字のあいだで起きていることです。Willow のサイトは、メールや Slack、ドキュメント、開発ツールをまたいで書き方と口調を学習していくと説明しています。名前や製品用語、略語を覚えていく「Auto-learning dictionary」と呼ばれる自動辞書があり、フィラー語を削り、句読点を直し、体裁を自動で整えるスマートフォーマットもあります。声を落として話すためのモードと、ショートカットに登録した定型文もあります。
公表されている数字は「4x faster writing across every app」と、「3x more accurate than built-in dictation」で、文字が出るまで最短 200ms とあります。いずれも Willow の数字で、私たちは計測していません。同社のシェア用カードでは速度が 5x に切り上がっているので、ベンチマークではなく宣伝文として読んでください。
対応言語は「100+」です。Kana は 26 です。
2026 年の料金
4 段階あり、無料プランの中身は最近かたちが変わっています。古い比較表ではなく、公式ページを見てください。
Basic は無料で、性能を落としたモデル (Frontier Mini) が無制限に使えます。パーソナライズは制限つきで、Scribe は週 20 回までです。
Pro は月 $15、年払いなら 1 人あたり月 $12 で、いちばん賢いモデル (Frontier Pro) と無制限の Scribe が付きます。
Business は月 $35、年払いで $28。ゼロデータ保持を強制するプライバシーモード、管理とチームの詳細な制御、SOC 2 Type II、HIPAA の強制が加わります。
Enterprise は見積もりで、SSO と SAML、請求書と発注書による支払い、利用状況ダッシュボードと API、MSA と DPA、専任サポートが付きます。
この構造は読み方に注意が要ります。無料プランは弱いモデルなら無制限で、良いモデルが有料の商品です。語数の上限を切るより気前がよく、そして壁としては固いつくりです。
Kana は買い切り $9.99 で、有料利用者と同じモデルでの無制限の音声入力に加えて、ファイルの文字起こしも無制限で、SRT、VTT、Markdown に書き出せます。有料になるのは AI による書き換えだけで、月 $4.90、年 $49、1 ライセンスで Mac 3 台です。料金ページはこちらです。
Kana には書けない法人向けの話
ここを省くのは不誠実なので書きます。
40 人ぶんの音声入力を買うなら、管理コンソール、席単位の課金、SSO、署名済みの DPA、規制当局に見せられる保持ポリシー、そしてベンダー以外が出した監査報告書が要ります。Willow のセキュリティページは、音声を米国内の安全なクラウド基盤で処理すること、文字起こし後に音声を保存しないこと、文字起こしはサーバー側でログを取らず既定では保持しないこと、認証は自己申告ではなく第三者による認証であることを明記しています。
Kana にはその仕組みが一切ありません。アカウントも管理者も管理画面も SSO も席の管理も、契約のかたちもありません。セキュリティの問いには別の、そして狭い答え方をします。音声も文字起こしも Mac から出ないので、保持ポリシーを持つべきサーバーが存在しません。この答えで即座に納得する購買部門もあれば、監査する対象がないという理由でまったく通らない購買部門もあります。
Willow にはオフラインモードもあり、必要なときにオフラインで動くという説明で、Mac と iOS でローカルモデルを走らせます。ただし販売しているのはクラウド側のモデルなので、通信が切れたときの退避先として捉えるのが実態に近いはずです。
Willow のほうが優れている点
働く場所すべてで動きます。 Mac、Windows、iPhone がひとつのアカウントで使えます。Kana は Apple Silicon の Mac だけです。1 日のうちに 2 台をまたぐなら、この時点で決まりです。
学習します。 文体への追従と自動辞書があるので、使うほど自分の書き方に近づきます。Kana にあるのは手で登録する固有名詞のリストだけで、それ以外は何も覚えません。Kana は使い込んでも賢くなりません。
法人に売れます。 Business と Enterprise、管理機能、SOC 2 Type II、HIPAA、SSO、ゼロデータ保持、MSA、DPA。Kana は会社としてまとまった買い方ができません。
言語数。 100+ 対 26 です。
フィラー語が自動で消えます。 Willow のスマートフォーマットは既定で削ります。Kana では、書き換えを購入して削るよう指示しないかぎり残ります。
Kana との違い
| Willow | Kana | |
|---|---|---|
| 認識処理の場所 | Willow のクラウド (米国基盤) | あなたの Mac |
| オフライン | 補助的なローカルモデル (Mac と iOS) | 常時 |
| 対応プラットフォーム | Mac、Windows、iPhone | Apple Silicon の Mac のみ |
| 言語数 | 100+ | 26 |
| 文体の学習 | あり | なし |
| 固有名詞の登録 | あり、自動学習 | あり、手で登録 |
| 法人向けプラン | あり (SOC 2 Type II、HIPAA、SSO) | なし |
| アカウント登録 | 必要 | 不要 |
| 試用 | 弱いモデル、Scribe は週 20 回 | 14日間、通常モデルで |
| ファイル文字起こしと字幕 | 記載なし | 本体に込み、SRT と VTT |
| まともに使うための費用 | 月 $12 から $15 | 買い切り$9.99 |
議論を担っているのは 2 行です。
ひとつは音声の行き先です。ゼロデータ保持は、サーバーが何かを消したという約束です。Kana はそもそも通信を行わず、それをポリシー文書ではなく CI で検査しています。別の種類の主張で、録音を端末の外に出してはいけないという規定の下で生き残るのは一方だけです。
もうひとつは価格です。Kana の音声入力は買い切り $9.99 で期限がなく、しかも有料利用者と同じモデルです。支払いで開くのは AI による書き換えだけで、書き換えが失敗しても元の文字起こしがそのまま入るので、回線が悪くても話した内容は失われません。
アプリ本体は 2.4 MB で、ログイン項目もなく Dock にも出ませんが、音声モデルは数百 MB の別ダウンロードです。
Willow が明確に勝っている行も含めて並べたものは、Kana と Willow の比較にあります。
こんな人には Willow
- Mac に加えて Windows や iPhone でも作業する
- 数か月かけて自分の口調に馴染んでいく音声入力がほしい
- チームで導入し、管理機能と席単位の課金が要る
- 組織が SOC 2 Type II、HIPAA、SSO を要求している
- Kana の 26 言語にない言語を使う
- 設定なしでフィラー語を消したい
こんな人には Kana
- 音声を端末の外に出せない、それが好みではなく規定である
- Apple Silicon だけで作業している
- いちばん良いモデルでの無制限の音声入力を月額なしで使いたい
- 音声ファイルを文字起こしして、SRT と VTT がそのまま付いてほしい
- アカウントもプロフィールも、後から消すものも作りたくない
よくある質問
Willow Voice は無料で使えますか
無料の Basic があり、弱いほうの Frontier Mini が無制限、Scribe は週 20 回です。強いほうの Frontier Pro は Pro プランで、月 $15、年払いなら月 $12 です。
Willow Voice は HIPAA に対応していますか
Willow は Business 以上に HIPAA の強制と SOC 2 Type II を記載し、認証は第三者による監査だとしています。無料プランと Pro はその条件では売られていません。
Willow はオフラインで動きますか
一部は動きます。サイトには Mac と iOS でローカルモデルを走らせるオフラインモードの記載があります。ただし主力は米国のクラウドで動くモデルなので、通常の経路ではなく退避先と考えてください。
Mac を 1 台だけ使う場合の代わりは
Apple Silicon を 1 人で使っていて、SOC 2 の報告書を求められる場面がないなら、Kana は買い切り $9.99 で同じ中心の仕事をこなし、音声は Mac から出ません。会話に情報システム部門が入ってくるなら Willow のままにしてください。
どちらにするか迷っている場合は、KanaとWillowの比較ページで項目ごとに並べています。Willowのほうが優れている点も書いています。