MacWhisper レビュー 2026: 料金、機能、向き不向き
録音があって、そこから文字起こしを取り出したいとき、最初に名前が挙がるのがMacWhisperです。WhisperとParakeetを自分のMacの中で動かし、100以上の言語に対応していて、2023年以降ずっとMac関連の掲示板で薦められてきました。
この記事を書いているのはKanaを作っているチームです。KanaはMacWhisperがやっていることの一部と重なる音声入力アプリですが、その重なりは検索結果から受ける印象よりずっと小さく、この記事のほとんどは違いの説明になります。
先に結論です。仕事がファイルから始まるなら、MacWhisperが正しい道具です。取材、ポッドキャスト、講義の録音、手で直す必要がある字幕のタイミング。Proは買い切り64ユーロで、内容を考えれば安いほうです。仕事が自分の声から始まって入力欄で終わるなら、必要以上のアプリになります。
MacWhisperはどんなアプリか
文字起こしのための作業場です。音声や動画のファイルを置く、YouTubeのURLを貼る、システム音声を録る、ZoomやTeamsやWebexの会議を取り込む。返ってくるのは、あとから別のアプリで直す必要がある文字の塊ではなく、そのまま作業できる文字起こしです。
ホーム画面を見ると性格がはっきりします。Batch Export、Manage Models、Podcasts、そして横に並ぶ話者の一覧と、それぞれが何本の録音に出てくるかの数。録音を繰り返し処理する人のための道具であって、Slackの返事を声で書きたい人のための道具ではありません。
処理は自分のMacの中で走ります。例外はAI Servicesの画面だけで、これは自分で有効にするものです。要約や書き換えを文字起こしの上に載せたい場合に、OpenAI、Anthropic、Google、Groq、xAI、Azure、Ollama、LMStudio、あるいは独自のエンドポイントを、自分のキーで追加します。
2026年の料金
比較記事でよく間違われていますが、実用的な無料枠があります。無料で使えるのは、基本的な文字起こし、.srtと.vttでの字幕書き出し、システム全体での音声入力、そして会議の録音です。有料の音声入力アプリより機能が多いくらいです。
Proは買い切り64ユーロで、以降の更新も含まれます。ここで加わるのが、作業場としての中身です。話者の認識、文字起こしのエディタ、まとめての文字起こし、翻訳、システム音声の録音、文法を整える音声入力、そして.md、.pdf、.html、.docxといった書き出し形式。
一度払えば終わりで、サブスクリプションはなく、更新も付く。何年も使う道具の売り方としては、他社が真似していい形です。
文字起こしのエディタが本体
話者のラベルと、実際に使えるエディタ。これがProを買う理由であり、Kanaがこの領域で競合しない理由でもあります。

出典: MacWhisper (macwhisper.com)
文字と再生位置が連動し、話者の一覧に名前を付けて直せて、字幕のタイミング用に区切りを見られて、文字起こしの中を検索でき、次の工程が求める形式で書き出せます。2時間の取材をこの画面で直すと半日で終わります。同じ作業をSRTファイルとテキストエディタでやると1日半かかります。
Kanaはファイルからの文字起こしをSRT、VTT、Markdownで書き出したら、そこで終わりです。エディタも再生の連動も話者分離もなく、これから作る予定もありません。録音された話し言葉を編集するのが仕事なら、MacWhisperが正解で、そこに議論の余地はありません。
音声入力もできます
ここは正直に書きます。こちらの比較データが古いままだった部分です。MacWhisperには無料枠の時点でシステム全体の音声入力があります。決めたキーを押しながら話すと、Mac上のどの入力欄にも文字が入ります。アプリ内の説明では毎分250語まで対応と書かれています。Proはその文字に文法の調整を加えます。

出典: MacWhisper (macwhisper.com)
MacWhisperは押しながら話す入力ができない、という説明を見かけたら、それは古い情報です。少し前まで、こちらもそう書いていました。正確に言えば、音声入力は文字起こしアプリの一機能であって、中心ではありません。それは形に出ています。MacWhisperは履歴と待ち行列とモデル管理を持つ、開いて使うウィンドウのあるアプリです。Kanaはメニューバーの項目で、ウィンドウもDockのアイコンも保存される履歴もありません。
| MacWhisper | Kana | |
|---|---|---|
| 再生と連動するエディタ | あり、Pro | なし |
| 話者の認識 | あり、Pro | なし |
| まとめての文字起こし | あり、Pro | なし |
| Zoom、Teams、Webexの録音 | あり | なし |
| システム全体の音声入力 | あり | あり |
| Macの中で処理 | 対応 | 対応 |
| 対応言語 | 100以上 | 26 |
| 音声モデル | WhisperとParakeet | Parakeet、日本語はSpeechAnalyzer |
| 字幕の書き出し | .srtと.vtt、無料枠 | SRT、VTT、Markdown |
| 料金 | 無料枠あり、Proは買い切り64ユーロ | 買い切り$9.99、書き換えは月$4.90で3台 |
| 自分のAIキーを使う | 使える | 使えない、書き換えは自社プロキシ経由 |
Kanaが小さい道具である理由
Kanaはメニューバーのアプリで、ウィンドウもDockのアイコンもありません。修飾キーを押しながら話して離すと、さっきまで打っていたアプリに文字が入ります。操作はそれだけです。
音声入力もファイルの文字起こしも回数制限がなく、SRT、VTT、Markdownで書き出せます。音声入力はネットワーク通信を一切行いません。お金を払うと使えるのはAIによる書き換えで、自社のプロキシを通るためAPIキーの用意は不要です。月$4.90、年$49でMac 3台まで。アプリごとの振り分けがあるので、Slackとメールで調子を変えられますし、書き換えを絶対に走らせないアプリを指定することもできます。
アプリ本体は2.4 MBで、音声モデルは約540MBの別ダウンロードです。ログイン項目も補助プロセスもありません。
2つを並べて計測したことはないので、この記事に速度のグラフはありません。どちらも自分のMacの中で処理していて、毎日使って感じる違いはミリ秒ではなく形のほうです。
行ごとの比較はKanaとMacWhisperの比較ページにあります。MacWhisperのほうが優れている行も、そのまま載せています。
こんな人にはMacWhisper
- 取材、ポッドキャスト、講義を文字起こしして、結果を編集する
- 話者のラベルが必要
- 字幕を作っていて、タイミングを直す必要がある
- 録音をまとめて処理する
- 会議の録音と音声入力を、一度の支払いで両方まかないたい
- ヨーロッパ系の言語と日本語以外で口述する
こんな人にはKana
- 気にしている録音はまだ存在しない。これから自分が話すから
- Dockに何も置かず、管理するウィンドウもない状態で音声入力を動かしたい
- ファイルの文字起こしと字幕の書き出しを、有料枠なしで使いたい
- APIキーを持たずにAIの書き換えを使いたい
- Apple Siliconを使っていて、モデルをNeural Engineで動かしたい
よくある質問
MacWhisperは無料で使えますか
期限のない無料枠があり、基本的な文字起こし、.srtと.vttの書き出し、システム全体の音声入力、会議の録音が含まれます。Proは買い切り64ユーロで、エディタ、話者の認識、まとめての処理、翻訳、その他の書き出し形式が加わります。
音声入力もできますか、ファイル専用ですか
両方できます。どの入力欄にも入る音声入力は無料枠に含まれ、Proは文字に文法の調整を加えます。ただし、アプリの中心にあるのは今もファイルの処理です。
音声はどこかに送られますか
文字起こしは自分のMacの中で走ります。例外はAI Servicesの画面で、これは自分で有効にするものです。OpenAI、Anthropic、Googleなどを自分のキーで追加すると、テキストがその提供元に渡ります。
MacWhisperと音声入力専用アプリのどちらを選ぶべきですか
仕事がどこから始まるかで決まります。ファイルから始まるならMacWhisperです。自分の声から始まって、誰かが待っている入力欄で終わるなら、音声入力アプリのほうが合っていて、エディタがなくても困りません。Kanaの料金は料金ページにあります。
どちらにするか迷っている場合は、KanaとMacWhisperの比較ページで項目ごとに並べています。MacWhisperのほうが優れている点も書いています。